172 関節リウマチ ~早期治療で関節機能維持も

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 体には、病原菌などを攻撃して病気から身を守る免疫の仕組みがあります。ところが、自分自身の細胞を敵と誤認して攻撃してしまうことがあり、このために起こる病気を自己免疫疾患といいます。

女性が男性の4倍

 「関節リウマチ」は自己免疫疾患の一つです。関節の中にある滑膜が炎症を起こして腫れ、腫れが続くと炎症が進んで軟骨や骨が破壊され、最終的には関節の機能を失いかねない病気です。

 遺伝的にかかりやすい体質の人が何らかの要因で発症すると考えられています。発症のピークは30代から50代で、女性が男性よりも4倍程度多く発症します。

 症状は痛みと腫れ、こわばりが中心です。全身のあらゆる関節に起こりますが、初めは手首と手指・足指の関節に現れることが多いです。足指の腫れは自覚しにくいですが、歩いたときに小石を踏んだような足の裏の違和感や痛みといった特徴的な症状が出ることがあります。炎症が全身に及ぶと、発熱や倦怠(けんたい)感などの症状が出ることもあります。

 診断は、問診、体の診察(視診、触診、聴診)、血液検査、画像検査(エックス線、超音波、MRI、CT)などを組み合わせて行います。血液検査でリウマチ反応が陽性だったから―とか、手がこわばる―というだけでは診断できません。

 治療は、暴走した免疫を抑える薬剤を使い、炎症を鎮静化して関節破壊が起こらないようにします。目標は、発症前とあまり変わらない生活を送れるようにすることです。

進歩した治療

 かつて、リウマチの症状はゆっくり進行し、関節の破壊は発症から10年以上たってから始まると考えられていました。治療は症状緩和や痛み止めの薬を使い、痛みを軽くすることが中心でした。その結果、障害が残ったり寝たきりになったりすることもありました。

 しかし今では、関節破壊は早くから始まり、発症から1~2年のころに最も進むことが分かっています。この時期に治療を始めると治療効果が期待できることも明らかになりました。薬剤も格段に進歩し、免疫抑制剤を基本に、さまざまな薬を使えるようになりました。

 早い時期に治療を始め、こうした薬で適切に制御することで、関節機能を維持することができるようになっているのです。早期診断、早期治療が何より重要なのです。

(2021年4月10日号掲載)
 
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