パッセンジャー ~極限の中で闘う男女 SF版タイタニック~

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 広大な宇宙で究極の選択を迫られたとき、どう決断するのか。「パッセンジャー」は、極限の中で運命と闘う男女の愛を描いた。

 冬眠ポッドに眠る5千人の乗客(パッセンジャー)を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号は、はるか遠い惑星を目指し120年という宇宙の旅を続けていた。

 しかし、原因不明の誤作動でジム(クリス・プラット)は90年も早く目覚めてしまう。もう1人、目覚めた乗客、オーロラ(ジェニファー・ローレンス)も、わが身に起きた非情な現実を知り絶望する。2人が次第に打ち解け、希望を見いだした時、最大の危機が宇宙船に迫っていた。

 新たな惑星で力を試そうと乗り込んだエンジニアのジムはエコノミークラス、作家として華やかに活躍していたオーロラはファーストクラスの乗客。目覚めた後に受けるサービスの質の差は歴然としている。あまりの格差が皮肉な笑いを誘う。

 本来なら出会うことのない2人がひかれあっていくのは、まさにSF版「タイタニック」。神秘的な宇宙でのデートシーンはロマンチックだ。

 登場人物がほぼ2人だけという特異な展開が続くが、最後まで目を離せないほどエキサイティングなのは、主演の2人がもつ魅力によるところが大きい。

 恋する女性としてセクシーに美しく変化するオーロラ役のローレンスは「世界にひとつのプレイブック」(2012年)で、22歳でアカデミー賞主演女優賞を受賞。演技はもちろん、アクションもこなす実力派だ。演技派のパワーをみせつけるのがアンドロイドのバーテンダー役のマイケル・シーン。機械でありながら人間的という奇妙な存在感が見事だ。

 スタイリッシュな宇宙船のデザインを手掛けたのは「インセプション」(10年)でアカデミー賞美術賞にノミネートされたガイ・ヘンドリックス・ディアス。今年のアカデミー賞では美術賞とトーマス・ニューマンが作曲賞の2部門にノミネートされている。

 ラブロマンスにアドベンチャー、スペクタクルとさまざまなエッセンスが融合して濃密なドラマを生み出した。
=1時間56分
(2017年3月25日号掲載)

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