家族はつらいよ 2 ~無縁社会をテーマに 「家族の絆」の大切さ~

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 妻がねだった誕生日プレゼントは離婚届だった―。熟年離婚が巻き起こす一家のてんやわんやを描いた「家族はつらいよ」(2016年)。山田洋次監督が愛する平田一家が再び帰ってきた。「家族はつらいよ2」は、高齢者ドライバーの免許返納問題から大騒動が始まる。

 平田周造(橋爪功)がささやかな楽しみにしているドライブに赤信号がともる。車に傷が目立ち始めたことで、事故を心配した子どもたちが周造を説得すべく、家族会議を招集した。

 心配をよそに、わがまま親父はひいきの小料理屋の女将(おかみ)かよ(風吹ジュン)とドライブに出掛けるが、その途中で音信不通だった同級生の丸田(小林稔侍)と40年ぶりに再会する。

 85歳になった山田監督にとって、85本目となる本作のテーマは「無縁社会」。日常生活から生まれるユーモアとペーソスを丁寧に描いてきた監督の目線から紡がれるエピソードの数々は、笑いながら身につまされることばかりだ。高齢者ドライバーによる事故や孤独死。最近の事件をさりげなく取り入れながらも、決してぶれないのは「家族の絆」の大切さだ。

 「東京家族」(2013年)「家族はつらいよ」に次いで3回目の家族を演じる役者たちは、それぞれの世代の感情を代弁する。妻役の吉行和子、同居する長男夫婦の西村雅彦と夏川結衣、長女夫婦の中嶋朋子と林家正蔵、次男夫婦の妻夫木聡と蒼井優。

 本物の家族のような存在感と、キャラクターになりきった自然な丁々発止の掛け合いの絶妙な面白さ。「子の心親知らず」「親心 子知らず」で、互いを思うあまりに、つい諍(いさか)いに発展するのは底に愛情があればこそだ。

 それ自体が物語の味わいを醸し出すタイトルデザインはイラストレーターの横尾忠則、音楽は久石譲というぜいたくな布陣は健在だ。

 おかしくて、悲しくて、つらくて、でもうれしくて、それが家族、それが人生。つましくてささやかな幸せに気付かせてくれる山田監督の温かい人情の世界がここにある。
=2時間16分
(2017年6月3日号掲載)

=写真=(C)「家族はつらいよ 2 」製作委員会

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