ノー・エスケープ 自由への国境 ~越境目指す移民たち、メキシコ側から描く

(C)2016 STX Financing, LLC.All Rights Reserved.

0923noescape.jpg
 トランプ米大統領が不法移民阻止対策として、メキシコとの「国境の壁」建設を主張し続けている。今、国境地帯では何が起こっているのか。「ノー・エスケープ 自由への国境」は、より良い人生を求めて自由の国アメリカを目指す移民たちの姿を、メキシコ側から描いたサバイバル映画だ。

 モイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、アメリカにいる妻と息子に会うため、不法越境をしようとしていた。しかし、エンジントラブルで車を降ろされ、ほかのメキシコ人たちと徒歩で砂漠を越えることになってしまう。

 摂氏50度の砂漠に照りつける太陽、そして突然の銃弾が彼らに襲いかかる。不法に入国してくる人たちを待ち受け、排除しようとする白人サム(ジェフリー・ディーン・モーガン)が放つ銃弾に次々と倒れる移民たち。過酷な逃走が始まった。

 ラストまで容赦ない追跡劇は、呼吸困難になりそうなほど、緊迫感に満ちている。サムの相棒として移民たちを追跡するのは猟犬のトラッカー。主人には従順だが、移民には牙をむく恐ろしい存在だ。実際に警備の訓練を受けた犬を起用したというのだから、人間を駆り立て追い詰める迫力は半端でない。

 宇宙に一人取り残された女性飛行士のサバイバルを描き、アカデミー賞7部門を受賞した「ゼロ・グラビティ」(2013年)で、父親のアルフォンソ・キュアロン監督とともに脚本を手掛けたホナス・キュアロンが監督、脚本、編集、製作を務めている。

 ホナス・キュアロン監督は移民たちの過酷な体験談を聞き、8年の構想を経て撮影に臨んだという。舞台となる砂漠は、物語の真実を語る重要な要素だけに、世界中のあらゆる砂漠を旅した中からロケ地を選んだという。

 まるで狩りを楽しむかのように平然と命を奪う自警団が、実際にも存在することの衝撃。不法入国者を殺すことは当然の権利なのか。私たちが知るべき現実を描いたタイムリーな作品は、今年のアカデミー賞外国語映画賞のメキシコ代表作品に選ばれている。

=1時間28分

最近の記事

幼な子われらに生まれ ~重松清作品を映画化 家族の在り方を描く
(C)2016「幼な子われらに生まれ」製…
ノー・エスケープ 自由への国境 ~越境目指す移民たち、メキシコ側から描く
(C)2016 STX Financin…
草原の河 ~チベット高原の一家 少女目線の家族物語
 海抜3千メートルを超えるチベット高原で…