ドリーム ~NASAの黒人女性 切り開く姿を爽快に

171021dream.jpg
(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

 ロシアとの宇宙開発競争にアメリカが奔走していた1961年。米航空宇宙局(NASA)にはコンピューター並みの能力を持った天才女性数学者たちがいた。「ドリーム」は、これまで知られることがなかった実在の3人の黒人女性にスポットを当てた人間ドラマだ。

 数学の天才少女だったキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、NASAラングレー研究所で計算手として働いている。黒人女性チームのリーダー、ドロシー(オクタヴィア・スペンサー)とエンジニアを志すメアリー(ジャネール・モネイ)と支えあい、国家に貢献すべく奮闘していた。

 アル・ハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に、キャサリンは黒人女性として初めて配属されるが、トイレは白人用のみで、別棟の非白人用まで必死に駆け込む日々。オール白人男性の職場で、冷たい視線と劣悪なオフィス環境に耐えながら、次第に才能が認められていく。

 渡される書類は俗にいう「のり弁」で、肝心なところは黒く塗りつぶされている。できるものならやってみろという嫌がらせそのものだが、瞬時に正しい答えを導き出すキャサリンのとてつもない才能に、男たちがあぜんとする。胸のすくシーンだ。

 新たに導入されるIBMコンピューターの脅威を察知したドロシーは、内緒でプログラマーを養成し、時代の変化に食い付いていく。人種問題など、社会派のテーマではあるけれど、宇宙開発の歴史とお仕事ドラマとしても実に見応えがある。

 「ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち」が原作。人種差別が色濃い時代に、いかに3人がスキルを磨き、己の居場所を切り開いていくか、ステップアップする姿が爽快に描かれる。白人女性でさえ能力を軽んじられる男性優位の時代でもあった。

 バックに流れる音楽やファッション、時代を見事に切り取った映像は、アカデミー賞作品賞、助演女優賞、脚色賞にノミネート。夢を諦めず、不屈の闘志で闘い抜いたヒロインたちの物語が、女性映画批評家協会賞でベスト女性映画賞を受賞したのもうなずける。
    =2時間7分
(2017年10月21日掲載)

最近の記事

ブレードランナー2049 ~前作の30年後描く 現実に近づく映像
 SF映画の金字塔として高い支持を得たリ…
ドリーム ~NASAの黒人女性 切り開く姿を爽快に
(C) 2017 Twentieth C…
少女ファニーと運命の旅 ~ユダヤ人の少年少女 ナチスからの逃亡劇
(C) ORIGAMI FILMS / …