ローガン・ラッキー ~ソダーバーグ復帰作 痛快なクライム映画

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 犯罪のスペシャリストがチームを組んで華麗に強奪する「オーシャンズ11」(2001年)シリーズ3部作がヒットしたスティーブン・ソダーバーグ監督。4年前に映画界から引退宣言をしたソダーバーグ監督が脚本の面白さにひかれて、監督復帰作に選んだのが、「ローガン・ラッキー」だ。

 炭鉱作業員のジミー・ローガン(チャイニング・テイタム)は妻に愛想をつかされて家庭は崩壊し、足が不自由なことで職場を首になるという不運続き。弟のクライドもイラク戦争で片手を失い、兄弟そろっての運の悪さに「ローガンののろい」とやゆされる。

 ジンクスをはね返すために思いついたのが、全米最大のカーレース中にばく大な売上金を盗み出す強盗だった。

 金庫の爆破役に天才的な爆弾技術を持つジョー(ダニエル・クレイグ)を刑務所から脱獄させ、鮮やかに強奪を決めるはずが、素人の寄せ集めだけに、アクシデントが続発。果たして人生の一発逆転を狙った作戦は成功するのか。

 銃撃や殺りくシーンを入れない監督のこだわりは健在。舞台となるサーキットで疾走する車のスピード感さながらに、ストーリー展開のテンポの良さに、ソダーバーグ監督らしい演出が光る。

 「マジックマイク」(12年)で監督とコンビを組んだチャイニング・テイタムをはじめ、007役で知られるダニエル・クレイグは金髪に入れ墨の爆弾犯というワイルドな悪役に変身。さらに、女優陣は、兄弟の妹メリー役にエルビス・プレスリーの孫娘ライリー・キーオ、ジミーの元妻にふんするのはケィティ・ホームズ、兄弟に疑惑の目を向ける有能なFBI捜査官に2度のオスカーに輝く演技派ヒラリー・スワンクと、はらはらさせる役どころで登場する。これまでとひと味違う役者たちの演技も見どころだ。

 強盗は悪いことだが、どこか憎めない犯人たちを応援したくなるのが不思議だ。悪いやつらの鼻をあかしたオーシャンとは違い、兄弟が闘うのは自分たちの人生。家族の絆の強さにもほろっとさせられる痛快クライム・エンターテインメントだ。
   =1時間59分
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)

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