KUBO/クボ 二本の弦の秘密 ~日本的な題材の物語 浮世絵思わせる世界

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 少年が三味線をかき鳴らすと、命を与えられた折り紙たちが生き生きと動き出す「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」。この日本的な題材の物語がアメリカ生まれであることに、まず驚かされる。

 片目の少年クボは闇の魔力に父親を殺され、追っ手から逃れてきた母親との2人暮らし。村の広場で折り紙の大道芸を披露しながら生計を立てている。

 灯籠流しの日、残りの目を奪おうとする闇の姉妹に見つかり、母親まで殺されてしまう。遺言の「3つの武具」を探す旅に出たクボは、お供に加わったサルとクワガタのハンゾウと、(執)(しつ)(拗)(よう)な追っ手と闘いながら危険な旅を続けるのだった。

 「コララインとボタンの魔女」で知られるスタジオライカが、日本の昔話の世界をストップモーションで描く。本物のパペットやセットを使って、豊かな表情と繊細な動きで、まるで絵巻物のように物語が繰り広げられていく。

 クボの表情は4800万通りに及ぶ。1秒間の映像のために動かすのは24コマ。わずか3秒の撮影に1週間という気の遠くなるような作業は、まさに職人魂だ。少年クボが亡き父親への思いを込めた、灯籠流しの幻想的なシーンでは、一つ一つLEDをともしたという。

 浮世絵を再現したかのような世界。鮮やかな色彩でありながら、日本の「わびさび」の美意識へのこだわり。小布施に深い縁がある北斎の作品が起用されているのも、さすが世界の北斎と鼻が高くなる。特に、三味線の音色で変幻自在に姿を変える折り紙の見事さに、目を奪われる。

 アイデアとクオリティーの高さで、89回アカデミー賞の長編アニメーション賞や視覚効果賞にノミネートされたのをはじめ、ゴールデン・グローブ賞、アニー賞などで27部門受賞という高い評価を受けている。

 黒沢明監督や宮崎駿監督に大きな影響を受けたというトラヴィス・ナイト監督は、8歳の時を皮切りに何度も訪日を重ね、日本の伝統文化や芸術を愛してきたという。日本への限りないリスペクトと愛に満ちたファンタジーだ。
=1時間43分
(2017年12月23日掲載)

長野千石劇場((電)226・7665)で1月6日(土)から公開

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