ザ・ダンサー ~モダンダンスの祖 波乱の半生を描く

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(C) 2016 LES PRODUCTIONS DU TRESOR - WILD BUNCH - ORANGE STUDIO - LES FILMS DU FLEUVE - SIRENA FILM

 芸術の都パリが「ベル・エポック」(良き時代)と呼ばれた華やかな時代。ロートレックやロダンに女神として愛された天才ダンサーがいた。「ザ・ダンサー」はモダンダンスの祖といわれる伝説のダンサー、ロイ・フラーの波乱の半生を描いた実話の映画化だ。

 アメリカ西部の田舎町で育ったマリー・ルイズ・フラー(ソーコ)は、女優になる夢を抱いてニューヨークに移り住む。女優としては芽が出ないものの、踊りで拍手をもらったことをきっかけに、大きな布をまとい、鳥が羽ばたくようなダンスで、観客の心をつかむようになった。

 ダンサー名をロイ・フラーと変え、単身パリへ渡ったロイは、シルクと光の幻想的な踊りで一夜にしてスターに。それは新たな運命と試練の始まりだった。

 ロイの才能を見抜き、恋とも友情ともつかない不思議な絆を結ぶドルセー伯爵役のギャスパー・ウリエルは、繊細で妖しい魅力を放つ。肉体や容貌に自信がなかったロイが嫉妬と羨望を抱く相手、若き日のイサドラ・ダンカンを演じたリリー・ローズ・デップのダンスはしなやかで美しい。

 そして、ダンスを芸術へと究めていくストイックなダンサーになりきったソーコ。エネルギッシュなパフォーマンスに圧倒される。

 暗闇に浮かび上がりチョウのように舞う。はた目には優雅に見えるが、実際は恐るべき過酷な踊りで、一度舞台に立つと2日は踊れないほど、体力も気力も使い果たしたという。

 高く評価されているロイの才能の一つが、照明や色彩を駆使した舞台演出だが、きつい照明が失明の危機を招く。目にダメージを受けながらも挑戦し続け、情熱の炎を身にまとうかのような幻想的なダンスに酔いしれる。ロイの憧れだったバレエの殿堂「パリ・オペラ座」で実際に撮影されたシーンも見どころだ。

 これまであまり知られていないフラーの人生を、3年かけてよみがえらせた脚本と監督を手掛けたステファニー・ディ・ジュースト監督は、本作でセザール賞の監督賞にノミネートされている。

=1時間48分
シネマポイント((電)235・3683)で公開中

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