デトロイト ~最大の黒人暴動追及 人種問題の緊張描く

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 イラク戦争の米軍爆発物処理班の極限心理を描いた「ハート・ロッカー」(2008年)で、女性として史上初のアカデミー賞監督賞を受賞したキャスリン・ビグロー監督。ウサマ・ビンラディン容疑者捜索に迫る「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)など、常に骨太な問題作を手掛けるビグロー監督の最新作が、約40人が死亡し、1000人以上の負傷者を出した米史上最大の暴動を追及した「デトロイト」だ。

 1967年7月深夜、デトロイト市警が行った酒場への強引な手入れをきっかけに、不満を抱える黒人たちの暴動が勃発。非常事態が宣言され、軍隊が介入し、戦場のような混乱に向かっていく。

 発生から3日目、モーテルに宿泊中の黒人客が悪ふざけでおもちゃの銃を発砲。狙撃事件と誤認して乗り込んだ白人警官の人種差別による虐待が、惨劇を引き起こす。

 後に裁判となったモーテル事件が物語の核となり、息もできないほどの緊迫した場面が展開。黒人の若者たちと一緒に白人女性2人がいたことが、さらに警官たちの憎悪を駆り立て、容赦ない尋問が暴力とともに行われた。

 運悪くそこに居合わせたのは、地元出身の黒人ボーカルグループのメンバーや、食料品店の警備を担当していた民間警備員。彼らは口を閉ざすことを強いられ、解放された。ビグロー監督は事件の被害者となった3人の証人を見つけ出し、それぞれの視点から事件の全貌と真相を描きだした。

 ドキュメント映像を交えて再現した暴動のシーンは生々しい。まるで昔の西部劇の保安官気取りで、「俺の街」と支配者のように振る舞う白人警官たち。彼らの強引なでっち上げと理不尽な言動は、恐ろしいほどに悪意に満ちている。

 1960年代の人種問題の緊張が、今なお途切れていないことに気づかされる。近年、無抵抗の黒人をいきなり射殺する白人警官の動画が何件も公開され、反発した人々の激しい怒りを呼んでいる。アメリカに根深く巣くう白人至上主義を見事に暴いた衝撃作だ。
    =2時間22分
(2018年1月27日掲載)

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