空海 KU - KAI 美しき王妃の謎 ~原作は夢枕獏の小説 歴史ロマン冒険物語

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 日中共同製作のチェン・カイコー監督の「空海 KU―KAI 美しき王妃の謎」は、夢枕獏原作「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」の映画化である。若き日の空海が遣唐使として渡った中国で繰り広げる冒険物語だ。

 密教の教えを求めて唐の都、長安に滞在する空海(染谷将太)は怪事件に巻き込まれる。

人語を話す黒猫の妖術にとりつかれた権力者が、次々と不審な死を遂げていたのだ。空海は詩人の白楽天(ホアン・シュアン)とともに、化け猫退治にとりかかるが、その陰に楊貴妃の死の秘密があることにたどりつく。

 過去からよみがえるのは玄宗皇帝、楊貴妃、李白、安禄山、そして遣唐使の阿倍仲麻呂(阿部寛)。歴史好きにはたまらない人物たちが登場し、スクリーンに息づく。

 日本に真言密教をもたらした偉大な僧であり、さまざまな伝説を残す天才僧侶、空海は陰陽師のようにたたりをはらい、幻術使いと対峙する。後に「長恨歌」で玄宗皇帝と楊貴妃の深い愛を詠んで大詩人となる白楽天が、シャーロックホームズとワトソンばりの名コンビで空海と事件の真相に迫る面白さがある。

 チェン・カイコー監督がみせる美の追求と本物へのこだわりは、本作でも健在だ。きらびやかな衣装の数々や原寸大で製作した遣唐使船、CGではなくオープンセットで作り上げた長安の都。デザインから完成まで6年の歳月をかけて完成した都は、東京ドーム8個分というから、何ともぜいたくである。壮大なスケールで描かれた時代絵巻は、1200年前にタイムスリップしたかのように圧巻だ。

 絶頂期を迎えていた唐で権力を振るう玄宗皇帝のちょう愛を一身に受け、「傾国の美女」と呼ばれた楊貴妃を演じたチャン・ロンロンはため息が出るほど美しい。彼女のために催された「極楽の宴」のシーンは、妖しく華やかだ。

 実際には中国語で撮影されているが、日本での公開は日本語吹き替え版。ボイスキャストの顔ぶれが実に豪華かつ芸達者ばかり。違和感なく悠久の歴史ロマンに浸れるファンタジー・エンターテインメントだ。
=2時間12分
(日本映画ペンクラブ会員ライター)
(2018年2月24日掲載)

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