君の名前で僕を呼んで ~男同士の禁断の恋 印象的な父の言葉

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(C)Frenesy, La Cinefacture

 17歳と24歳の青年の恋の痛みと喜びを、北イタリアの美しい風景の中で描いた「君の名前で僕を呼んで」は、アンドレ・アシマン原作の小説を映画化した。

 1983年の夏、17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)は夏休みを両親と北イタリアの避暑地で過ごしている。アメリカの大学で美術史学を教えている父親の助手として、大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)がやって来た。自転車で街を散策し、川で泳ぎ音楽を楽しむ2人。エリオは端正で知的なオリヴァーに魅了されていくが、夏の終わりが別れの時を告げようとしていた。

 風に揺れるカーテン、ドア越しに交わす視線。欲望を挑発したかと思えば、突き放す。大人の自信と魅力にあふれているオリヴァーに反発しながらも、磁石のように引き寄せられていくエリオ。男同士の禁断の恋にとまどいながらも、激しい恋に落ちていく2人の肉体が、古代美術の彫像のように美しく絡み合う。「君の名前で僕を呼んで」のせりふに込められた官能的な感動が匂い立つようだ。

 物語のもうひとつの主軸となる親子の関係も、丁寧に描かれている。愛を知ったわが子の変化に気付いた父親が、人生を語る言葉は印象的だ。

 憂いのあるまなざしと音楽の才能にあふれているティモシー・シャラメが、多感な思春期の心の揺らぎを繊細に演じ、史上最年少でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたほか、作品賞、歌曲賞など4部門でノミネートされた。

 「日の名残り」(1993年)でオスカーを受賞した名匠ジェームズ・アイヴォリー監督が、自分の監督作品以外で初めて脚本を手掛け、89歳でアカデミー賞脚色賞を受賞したのも驚きだ。監督は「胸騒ぎのシチリア」(2015年)のイタリア人監督ルカ・グァダニーノだ。

 まぶしい太陽の下で息苦しいほどの恋のときめき。少年から大人へと成長していくひと夏の体験は、1970年代のイタリアの青春映画のような懐かしさと、みずみずしさに満ちている。
=2時間12分

(2018年7月14日掲載)

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