天命の城 ~「丙子の役」を映画化 朝鮮王朝国王の苦悩

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 1636年、清が朝鮮に侵攻し、朝鮮王朝で最も熾烈な戦いと言われる「丙子(へいし)の役」が勃発した。これを描いた「天命の城」は、韓国のベストセラー作家キム・フンの大作を映画化した本格時代劇である。

 清の大軍が攻撃してきたため、李氏朝鮮時代第16代国王の仁祖(パク・ヘイル)は、王の避難所である南漢山城へ逃げ延びた。敵軍に完全包囲され、冬の厳しい寒さと飢えに直面した朝廷は、降伏か抗戦か意見が紛糾する。

 大儀と名誉を重んじ徹底抗戦を唱えるキム・サンホン大臣(キム・ユンソク)に対し、清の軍事力を知るチェ・ミョンギル大臣(イ・ビョンホン)は国と民を守るためと和平交渉を進言。異なる意見に国王は苦悩するが、王子を人質に要求され、ついに決意するのだった。

 12万人の清軍に対し、朝鮮軍はわずか1万3千人。劣勢の中で、国の天命を賭けた戦いが始まった。

 自分たちは泥をかぶらず、口先だけで進言する大臣たちに振り回される王。韓国の歴史ドラマでよく見るシーンだが、いかに正しい決断を下すか、国のリーダーはどうあるべきか、王の力量が問われる瞬間だ。

 仁祖が失政を犯すほど、激論を交わした2人の大臣。対立しながらも共に忠誠心に厚い臣下を演じたキム・ユンソク、イ・ビョンホンの名優をはじめ、韓国映画界の演技派たちの熱い演技に圧倒される。

 朝鮮王朝時代の身分差別の厳しさと悲しみ。ファン・ドンヒョク監督は命をないがしろにされ、権力に抑圧された民衆の心理も丁寧に描きだす。怒濤(どとう)のごとく、清軍が城に攻め込むシーンでは、建物や衣装から小物まで忠実に再現。史実に合わせて極寒の中で5カ月かけて撮影したという臨場感あふれる映像も見どころだ。

 サウンドトラックを書き下ろしたのは日本の坂本龍一。監督の希望で韓国の伝統音楽に斬新さを加えることを心掛けたという。

 かつて中国や日本の軍門に下り、属国を余儀なくされた屈辱の歴史がある韓国。戦禍で荒廃した国土を復活させてきた今の韓国を知る上で、この戦いは興味深い。
=2時間19分

(2018年7月28日掲載)

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