散り椿 ~黒沢組のカメラマン 木村大作監督時代劇

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 黒沢明監督の下で数々の作品を手掛けたカメラマン木村大作が、初めての本格時代劇に挑戦した。日本アカデミー賞受賞の「剣岳 点の記」(2009年)、「春を背負って」(14年)に続く監督3作目。直木賞作家、葉室麟の「散り椿」を、愛の物語として映画化した。

 上役の不正を訴えたことが原因で扇野藩を追われた瓜生新兵衛(岡田准一)が8年ぶりに戻ってきた。共に故郷を離れて病に倒れた妻、篠(麻生久美子)の最後の願いをかなえるためだった。

 かつて平山道場の四天王と呼ばれた親友であり、恋敵でもあった榊原采女(西島秀俊)とは、不正事件によって袂を分かっていた。篠の妹・里美(黒木華)と藤吾(池松壮亮)姉弟の下に身を寄せて真相を探る新兵衛を、城代家老の石田玄蕃一味が付け狙う。

 「黒沢監督の伝統を汚さないように、一歩でも近づきたい。いまだに何か迷うと、黒沢さんならどうするかと考える」。キャンペーンで長野を訪れた木村監督は、時代劇への熱い思いをこう語る。木村監督のために、同じ黒沢組出身の小泉堯史監督が、脚本を手掛けている。

 「鬼の新兵衛」と恐れられた男はどんな剣の使い手なのか。「今まで見たことがない殺陣でやりたい」という監督の注文に、岡田准一が見事に応え、スピード感あふれる鮮やかな剣さばきを見せる。初めはかたくなだった藤吾が、次第に新兵衛に心酔し、雪の中で一緒に稽古をするシーンは、まるで舞を見るかのように、静かで美しく印象的だ。

 愛する女性のために命をかけて戦うラブロマンスに、時代劇ならではのチャンバラの面白さを加えて、物語は壮絶な終末へと向かう。

 富山をメインに、長野の松代など全編オールロケを敢行。1年かけてやっとカメラに収めたシーンもあるという四季の映像美は高く評価され、モントリオール世界映画祭で最高賞に次ぐ審査員特別グランプリを受賞した。
=1時間52分
(2018年9月22日掲載)

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野グランドシネマズ((電)233・3415)で9月28日(金)から公開

写真=木村大作監督

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