止められるか、俺たちを ~若松プロ再始動作 見える意外な素顔

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(C)2018 若松プロダクション

 時にはピンク映画の旗手として、時には「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」(2008年)などで社会に鋭い視線を投げ掛けた若松孝二監督。常に何ものかと闘った若松監督が、2012年10月17日に交通事故で死去してから6年がたった。

 監督が守ってきた若松プロダクション再始動の第1作が「止められるか、俺たちを」である。若松監督の下でたたき上げてきた白石和彌監督が、メガホンをとった青春群像劇だ。

 1969年、助監督志望の吉積めぐみ(門脇麦)は、新宿にある若松監督(井浦新)の独立プロダクションに弟子入りした。撮影現場で監督の容赦ない罵声を浴びながら、女優としてカメラに納まり、雑用をこなす。監督の下に、才気に満ちた男たちが集まり、熱論を交わす日々。次第にめぐみの中で焦りと不安が芽生え始める。

 76歳で生涯を閉じた若松監督の人生の何とドラマチックなことか。「どこかでもう一度、若松監督の声が聴きたい」と、白石監督は生誕80周年を機に企画をスタートさせた。

 男社会の当時、珍しかった女性監督の吉積さんの視点を通すことで、若松監督の意外な素顔が見えてくる。映画に対する真っすぐな姿勢。ピンク映画を撮りながら、女性の裸も血も嫌いだったという若松監督。白石監督はこの映画で、好きなことをぶれずにやり続けた若松監督はエネルギーの塊のようだったと、すごさを実感したという。

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 「憧れの存在だった恩師を演じることは想像していなかったが、演じられるのは自分しかいないだろうと思った」と、井浦は語る。頭で考えた小手先の芝居を嫌い、役者を緊張させることで一瞬の芝居を導き出す。撮影現場で自身が経験したことが、そのまま若松監督の役作りとなった。

 「文句を付けようがないほど素晴らしく、面影を見た」と白石監督。若松作品に出演した奥田瑛二や高良健吾、「キャタピラー」(2010年)でベルリン国際映画祭の主演女優賞を受賞した寺島しのぶらが顔を見せている。
=1時間59分

長野ロキシー((電)232・3016)で10月27日(土)から公開。
 初日と28日(日)に、脚本の井上淳一さんが舞台あいさつ。

(2018年10月20日掲載)

写真=白石監督(左)と井浦新

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