ボヘミアン・ラプソディ ~伝説の「クイーン」名曲とともに描く

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 女王陛下の国で生まれた伝説のロックバンド「クイーン」。「ボヘミアン・ラプソディ」は、バンドの誕生からスターダムに駆け上る姿を、不滅の名曲とともに描いた音楽エンターテインメントだ。

 1970年のロンドン。フレディ・マーキュリー(ラミ・マレック)は、ボーカルが抜けたばかりのバンドに自分を売り込む。最初は相手にしなかったギタリストのブライアンとドラマーのロジャーだったが、フレディの歌声に一瞬で心を奪われる。クイーンが生まれた瞬間だった。

 フレディの豊かな才能と、個性的なメンバーが生み出す楽曲は独創的で、次々とヒットを記録するが、メンバーとの対立からソロ活動を始めたフレディは、次第に孤独を深めていく。

 ライブ会場が足踏みと手拍子の一体感で高揚する「ウィ・ウィル・ロック・ユー」をはじめ、「伝説のチャンピオン」など名曲が流れる。栄光の光と影、かなわぬ愛と裏切り。伝記映画だけではない人間ドラマが胸を熱くする。容姿コンプレックスやセクシャルマイノリティーだったフレディに対する容赦のない記者会見シーンは残酷で心が痛くなる。

 崩壊寸前だったメンバーが、再び心を通わせたのは、20世紀最大のチャリティー音楽イベント「ライブエイド」だった。巨大なステージから舞台裏、小道具にいたるまで完璧に再現されたステージパフォーマンスは圧巻だ。

 音楽プロデューサーとして参加しているブライアンとロジャーから提供された衣装や楽器だけでなく、オリジナルの音源が使われた音楽シーンの臨場感は半端でない。

 彼らのステージの感動を、どんな言葉で伝えたらよいのだろう。熱狂するファンが会場を埋め尽くす。天を目指すように響き渡るフレディの歌声に、心が揺さぶられ、涙がこぼれる。史上最高のエンターテイナーと称された今は亡きフレディ・マーキュリーのパフォーマンスに酔いしれる。エンドロールが終わり、試写会場に拍手が鳴り響いた。なぜ彼らの音楽が、今なお人々の心をとらえて離さないのか、胸に落ちた瞬間だった。
=2時間15分
(2018年11月10日掲載)


(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野グランドシネマズ((電)233・3415)で公開中