こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 ~意思を貫いた障害者 支えた人々との交流

1222shinema.jpg
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

 全身の筋肉が徐々に衰えていく難病の進行性筋ジストロフィーのため車いすで生活しながら、「地域で普通に暮らしたい」という意思を、生涯貫いた人がいた。「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」は、2003年の刊行後、大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞を受賞した渡辺一史さんのノンフィクションの映画化だ。

 幼少のころから難病を患い、今は首と手しか動かせない鹿野靖明(大泉洋)は、24時間介助を受けながら生活している。

 ボランティアとして介助に加わっている医大生の久(三浦春馬)の恋人、美咲(高畑充希)は、デートよりボランティアを優先する久を疑い、鹿野を訪ねたところ、新人スタッフと勘違いされて手伝うはめに。初めは反発していた美咲だが、次第に鹿野の人柄に心を開いていく。

 医師から20歳までの命と宣告を受けながら、43歳まで人生を戦い抜いた鹿野。自立した生活を求めて障害者施設を飛び出した鹿野のモットーは「生きるとは迷惑をかけ合うこと」。思い切って人の助けを借りることも大切だ―という彼の人生哲学に、500人以上に及ぶ若者たちが、葛藤し、ぶつかり合いながら、大きな影響を受けたという。

 前田哲監督は「社会に一石を投じる覚悟でつくり上げた」と語る。同監督は「ブタがいた教室」(2008年)で、小学校の教室で自分たちが育てたブタを食べるという「食育」を題材に、「命」の重みと人間の不条理を問い掛けた。

 障害者への社会の仕組みが不十分な時代に、卑屈になることなく、堂々と声を上げる鹿野の姿は、一見腹立たしいほど、ずうずうしく見えてしまう。だが、人間誰しも年を重ねて衰えていくのが現実。その覚悟を突きつけられているようだ。

 わがままで自由で前向きでおしゃべりで、本音で生きた主人公を、同じ北海道出身の大泉洋がユーモアたっぷりに演じている。実際に鹿野さんが暮らしていた部屋で撮影され、北海道でオールロケが行われた。
=2時間
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野グランドシネマズ((電)233・3415)で12月28日(金)から公開
(2018年12月22日掲載)

最近の記事

華氏119 ~米大統領選挙の背景 民主主義が向かう先
(C) Paul Morigi / ge…
こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 ~意思を貫いた障害者 支えた人々との交流
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ…
アース アメイジング・デイ ~最新機材による映像 動物たちの命の賛歌
(C)Earth Films Produ…