クリード 炎の宿敵 ~因縁の闘いが再燃 「ロッキー」を紡ぐ

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(C)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

 ボクシングの世界を描いた「ロッキー」シリーズ6作品の中で、ドラマチックなストーリーが印象的なのが、4作目の「炎の友情」(1985年)だ。ロッキーのライバルから親友となったアポロが、旧ソ連のドラゴとのエキシビション・マッチで倒されて絶命。ロッキーが敵地での壮絶な弔い合戦に挑んだ。本作の「クリード 炎の宿敵」で、因縁の闘いが再燃する。

 ロッキー(シルベスター・スタローン)の指導を受けたアポロの息子、アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)は、世界ヘビー級のチャンピオンベルトを手にしていた。恋人との結婚も決まり、幸せの絶頂にいるアドニスに、挑戦状がたたきつけられる。

 相手は、かつてアポロを死に追いやったドラゴ(ドルフ・ラングレン)の息子ヴィクターだった。ドラゴの復讐(ふくしゅう)心を知るロッキーの反対を押し切って、アドニスはリングに上がる。

 父親同士の対決から生まれた憎悪が、息子たちの闘いへと連鎖していくストーリーは、シェークスピア劇を見ているかのようだ。

 アクションスターとして活躍するスタローンとドルフ・ラングレンが、老いたロッキーとドラゴとして再会する。国の威信をかけたドラゴは、ロッキーに敗れた後、野良犬のような屈辱的な人生を送った。互いに父親になり、人生の辛酸をなめ尽くした男たちを、アクションだけでなく、役者として熟成した演技で深みを添える。

 しかも、作品が縁でプライベートでスタローンと夫婦になり、後に離婚したブリジット・ニールセンが、ドラゴの冷酷な元妻役で登場。プロの俳優魂を実感させてくれた。

 ロッキーの銅像が立つフィラデルフィアのおなじみの風景や街並み、そして白熱するファイトシーンに流れるテーマ曲に胸が熱くなる。「ロッキー」1作目が公開された1976年に始まり、2015年の「クリード チャンプを継ぐ男」で、新たなシリーズが巧みに紡がれている。

 人生というリングで、敗者がいかに立ち上がるのか。シリーズを見てきたファンにはたまらない最高の後日談になった。
=2時間10分
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野グランドシネマズ((電)233・3415)で公開中
(2019年1月19日掲載)

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