十年 Ten Years Japan ~5短編オムニバス 日本の未来を問う

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(C)2018"Ten Years Japan" Film Partners

 2018年カンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」を獲得した「万引き家族」の是枝裕和監督が、エグゼクティブプロデューサーを務めた短編オムニバス作品「十年 Ten Years Japan」。5人の新進映像作家が日本の未来を問いかける作品だ。

 長寿国の日本をテーマにした「PLAN75」。厚生省人口管理局なる機関が、高齢者が抱える不安につけこむような制度を運営している未来国家だ。

 公務員の伊丹が勧誘するのは、家族も金もない貧しい年寄りたち。長生きして生活苦に悩むより、75歳であの世に旅立てば、支度金や葬儀サービスが受けられるという「死のプラン」を受け入れた高齢者を待ち受けたものとは...。

 AI(人工知能)による道徳教育で子どもたちが管理される社会。反抗すると厳しい罰が与えられるシステムに、やんちゃな小学生が立ち向かう「いたずら同盟」。

 データが入ったデジタル遺産で、母親の秘密を知る女子高生の戸惑いを描く「DATA」。

 原発事故で見えない恐怖に生活を脅かされながら暮らす人々の姿を描いた「その空気は見えない」。

 そして、政治家が口にする聞こえのいい言葉「美しい国」がタイトルに。ここで描かれるのは、戦争を知らない世代が占める日本。すでに徴兵制が導入された社会だ。

 AIの登場で世の中は、考えられないほどのスピードで進化してきた。10年後の日本はどうなっているのか。この5作品で描かれた未来は、10年たたずともやってくるかもしれない。現実味を帯びた恐怖がちらつく。

 私たちが選ぶ今の積み重ねが未来をつくるのだと、気付かされる。若手クリエーターたちが作品に込めた思い。国家が管理する社会に何が起きるのか、5つの短編が警鐘を鳴らす。
=1時間39分
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野ロキシー((電)232・3016)で1月26日(土)から2月1日(金)まで上映。

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 【初日舞台あいさつ】
 1月26日(土)12時30分の回上映終了後に、プロデューサーの水野詠子さん(長野市出身)と、プロデューサーのジェイソン・グレイさんが行います。
(2019年1月26日掲載)

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