メアリーの総て ~英女流小説家の人生 サウジ初の女性監督

(C) Parallel Films (Storm) Limited / Juliette Films SA / Parallel (Storm) Limited / The British Film Institute 2017

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 SF小説のジャンルに大きな影響を与えたフランケンシュタイン。1818年に英国で出版された「フランケンシュタイン」の作者が女性だということを、どれくらいの人が知っているだろうか。「メアリーの総て」は、18歳で傑作を書き上げた英女流小説家メアリー・シェリーの波乱の人生を描いた物語だ。

 母親が眠る静かな墓地でペンを走らす風変わりな少女メアリー(エル・ファニング)。思想家だった母を亡くし、継母と折り合いが悪い日々を過ごしていた。

 見かねた父親が送り出したスコットランドの友人の屋敷で、「異端の天才詩人」と評判のパーシー・シェリー(ダグラス・ブース)と運命の出会いが待っていた。妻子がいると知らぬまま駆け落ちしたメアリーに、苦難が待ち受けていた。

 放蕩にふける生活に、借金取りから夜逃げ、妊娠、出産、そして子どもの死...と、作家を夢見る17歳の少女の身に次々と降りかかる悲劇が、創作への源になっていく。

 社交界の寵児バイロン卿の提案で怪奇譚を書くことになったメアリーが生み出したモンスターは、創造主のフランケンシュタイン博士に裏切られ、孤独な旅を続ける。その悲しい姿は自由と愛する者との絆を求め、さまようメアリーの旅路と重なるようだ。

 当時は女性の名前では出版できないと断られたため、やむなく夫の序文で出版され、彼女の存在は隠されたままだった。

 子役として多くの作品に出演してきたエル・ファニングが、毅然として自立していく一人の女性を体現する大人の女優に成長した姿に、感動してしまった。

 監督は、「少女は自転車にのって」(2012年)がアカデミー賞外国語映画賞候補として出品されて注目を集めたサウジアラビア初の女性監督ハイファ・マンスール。メアリーの時代と同じように、いまだに封建的なサウジ社会でアーティストとしてもがき続けたマンスール監督だからこそ描けたメアリーの戦いと葛藤がある。
=2時間1分

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野千石劇場((電)226・7665)で4月26日(金)から公開
(2019年4月20日掲載)

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