ビリーブ 未来への大逆転 ~米女性弁護士の実話 差別撤廃の強い信念

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 1970年代のアメリカ。男女平等の権利を求めて法廷に立った女性弁護士がいた。「ビリーブ 未来への大逆転」は、多数の女性差別撤廃訴訟を勝訴に導いたルース・ギンズバーグの実話の映画化だ。

 ルース(フェリシティ・ジョーンズ)は大学で知り合ったマーティン・ギンズバーグ(アーミー・ハマー)と結婚し、生まれたばかりの娘を抱えながら共にハーバード大法科大学院に入学する。さらに移籍したコロンビア大法科大学院を首席で卒業しながら、女性だからという理由で就職はままならず、男女差別の厚い壁に突き当たる。

 当時、ハーバードの法科大学院で女性が入学を許可されたのはわずか9人。女子トイレもなく、彼女たちに投げかけられた言葉は「男性の席を奪ってまで、なぜ入学したのだ」という女性蔑視の冷ややかな嫌みだった。

 現代では当たり前のように男性が家事や育児を手助けしているが、女性は家にいるものとされた時代。自分名義のカードも持てず、仕事で残業もできなかったという。先進国アメリカとは思えないほど、女性の権利が認められていなかった。

 日本でも先日、東京大の入学式で、社会学者の上野千鶴子名誉教授が、性差別による大学の不正入試問題に言及し、学生たちを激励したことが関心を呼んだ。

 貧しいユダヤ人の家庭に生まれ、勉強もままならなかったというルースが、弁護士、法律学者、判事としていかにして苦難を乗り越えたのか。もちろん、妻を理解し、支える夫の献身なくして語れない夫婦の愛の物語でもあるのだ。

 「仕事も勉強も諦めない」。あくなき向上心で、自分の能力を生かせる場所にたどり着いた女性の半生を描いたのは、同じく女性監督としてハリウッドで実績を積み重ねてきたミミ・レダー監督だ。

 1993年にアメリカ史上2人目となる女性最高裁判事に任命され、86歳になった今も現役としてその職を務めるルース。先駆者として彼女の強い信念が時代を変え、女性たちを導く存在となった。彼女の勇気に奮い立たされる心地良さが、この作品にはある。

=2時間
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野千石劇場((電)226・7665)で公開中
(2019年4月27日掲載)

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