ザ・クロッシング ~日中戦争後の混乱期 男女3組の運命描く

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 「男たちの挽歌」シリーズや「レッドクリフ」(2008年)など、アクションや武侠映画で知られるジョン・ウー監督が、日中戦争後の混乱の時代を、壮大なスケールで描いた「ザ・クロッシング」。蔣介石を指導者とする国民党と、毛沢東率いる共産党との内戦で引き裂かれた男女3組の交差(クロッシング)する愛と運命の大河ドラマだ。

 旧日本軍撤退後、中国人同士が戦闘を繰り広げた国共内戦が全土に広がった。中国から台湾に逃れる人々が、上海の港に押し寄せていた。

 その中には、出兵したまま行方不明の恋人を探すユイ・チェン(チャン・ツィイー)、最前線で死を覚悟した国民党の将校レイ・イーファン(ホアン・シャオミン)から、台湾に住む妻に日記を託された通信兵トンの姿があった。

 日本軍の軍医として中国本土に従軍していた台湾人医師イェン・ザークン(金城武)もいた。イェンは日本統治下の台湾で育ち、幼なじみの雅子(長沢まさみ)と愛し合った悲しい思い出を胸に抱えていた。

 動乱の歴史に翻弄されながらも、愛を貫こうとする男と女。パート1では、すれ違った人々が、どんな運命をたどるのか。パート2では、中国大陸から台湾に向かった客船太平輪が衝突、沈没し、およそ千人が犠牲になった1949年の海難事故を舞台に、「タイタニック」をほうふつとさせるサバイバルが描かれる。

 ジョン・ウー監督は、史実を基に、中国と台湾をつなぐ映画を志したという。繊細な人間ドラマとともに、見どころの一つが最前線の戦場のシーン。実写にこだわって撮影された砲撃や爆破による炎と爆音の激しさが目を奪う。華麗でスタイリッシュな映像は影を潜め、命を落とし累々と折り重なる兵士の姿が、戦争の残酷さを映し出す。

 とはいえ、ジョン・ウー監督のトレードマークとも言える白いハトが羽ばたくシーンは健在で、にやりとさせられた。
=パート1 2時間9分、パート2 2時間6分
 (日本映画ペンクラブ会員、ライター)
 長野千石劇場((電)226・7665)で、6月27日(木)までパート1を公開。パート2は6月14日(金)から7月4日(木)まで公開予定。
(2019年6月8日掲載)

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