パリ、嘘つきな恋 ~相手は車椅子生活 小粋な愛の物語に

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(C)2018 Gaumont / La Boetie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public

 もし、恋をした相手が障害者だったら...。「パリ、嘘(うそ)つきな恋」は、フランスで大ヒットした「最強のふたり」(2011年)と同じ製作会社が手掛けたコメディータッチのラブストーリーだ。

 ビジネスマンとして成功し、リッチな独身生活を謳歌(おうか)しているジョスラン(フランク・デュボスク)は、若い美人に目がない軽薄な男。偶然出会った美女ジュリーの気を引くために、車椅子の障害者だと嘘をついてしまう。

 ジュリーから紹介された姉のフロランス(アレクサンドラ・ラミー)は、事故が原因で、車椅子で生活しながら、スポーツを楽しみ、バイオリニストとして世界中を演奏旅行する快活な女性だった。常に新鮮な一面を見せるフロランスに、ジョスランはどんどん引かれるが、自分のついた嘘に次第に追い詰められていく。

 ジョスラン役のデュボスクはフランスの国民的な人気コメディアン。本作では、主演だけでなく脚本、そして監督も初めて手掛けている。きっかけは、高齢になった母親が車椅子を使い始め、障害者が抱える問題に自身が直面したことだったという。

 障害を笑いにすることで非難されかねないリスクをものともせず、コメディアンならではの視点で軽妙な笑いに変えていく。フロランスを知ることで変化するさまは、彼自身が現代社会の目のようだ。

 真実を告白できず車椅子で行動せざるを得なくなり、自分の首を絞めてしまう滑稽さ。優雅な独身貴族を楽しんでいるはずのジョスランのほうが、なぜか惨めに見えそうなほど、フロランスは大人の女性として鮮やかな輝きを放つ。

 聡明(そうめい)で魅力的なフロランスを演じたラミーは、代役ではなく、彼女自身が車椅子テニスをプレー。優れた芸術作品に贈られるクリスタル・グローブ賞・コメディー部門で主演女優賞を受賞している。

 誰もが年を重ねて、老い衰える。もしかしたら歩けなくなるかもしれない。そんな時にフロランスのように振る舞えたらと思う。差別や偏見などの社会問題をテーマにしながらも、ウイットに富んだ小粋な愛の物語に仕上げる手腕はさすが愛の国フランスだ。

=1時間48分
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野ロキシー((電)232・3016)で6月29日(土)から公開
(2019年6月22日掲載)

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