ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ~女優惨殺事件題材 映画愛に満ちて...

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写真=「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の一場面

 1969年8月9日、ハリウッドを震撼させる大事件が起きた。カルト集団マンソン・ファミリーによる、女優シャロン・テート惨殺事件だ。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」はこの事件を題材に、クエンティン・タランティーノ監督が、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット初共演で描くエンターテインメント大作だ。

 落ち目のテレビ俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は映画への転身を目指すがうまく進まない。意気消沈するリックを慰めるのは長年リックのスタントマンで付き人を務める親友のクリフ(ブラッド・ピット)だ。クリフは偶然ヒッピーの女の子を車に乗せたことで、怪しげな共同生活を送る集団を目撃する。そしてリックの隣家にロマン・ポランスキー監督と女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が越してきた。刻々と運命の日が近づく。

 人気絶頂時代のリックが主役を務めたテレビ番組や、次第に悪役やゲストばかりという情けないシーンが次々と映し出される。活路を見いだそうとマカロニウエスタン出演のためイタリアに渡るのは、クリント・イーストウッドを思わせる。こんなあるあるエピソードのオンパレードと、ブルース・リーやスティーブ・マックイーンら、外見もそっくりのスターたちが登場し、映画ファンは発見する楽しさ倍増だ。

 レオさまとブラピ、演技はどちらも申し分なく素晴らしい。肉体的には、一回りも年上なのに、スタントマンらしく鍛えたボディーを惜しげもなく見せてくれるブラピに軍配を上げたくなる。ヒッピーたちとの大立ち回りのアクションも見どころだ。

 「昔々」で始まるタイトルもタランティーノ監督がファンだというセルジオ・レオーネ監督の遺作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」と重なる。60年代のヒット曲を集めた音楽にファッション、車、映画も再現され、一つの時代を見事に切り取った。まさにハリウッドの古き良き時代にオマージュを捧げた、タランティーノ監督の映画愛に満ちた作品なのだ。
=2時間41分
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野グランドシネマズ((電)233・3415)で公開中
(2019年8月31日号掲載)

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