真実 ~傲慢な大女優演じ 魅力的なドヌーブ

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 「シェルブールの雨傘」(1963年)の可憐(かれん)なヒロインを演じ、世界の注目を集めてから半世紀。フランス映画界に君臨する大女優カトリーヌ・ドヌーブと日本の是枝裕和監督が初めてタッグを組んだ最新作「真実」。是枝監督のオリジナル脚本を全編フランスで撮影したヒューマンドラマだ。

 国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)が自伝本「真実」を出版した。出版祝いに出席するためニューヨークで脚本家をしている娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)が、娘婿のハンク(イーサン・ホーク)と孫娘シャルロットとともに一家で帰国した。さらにファビエンヌの落ちぶれた元夫ピエール、長年秘書を務めてきたリュックら、ファビエンヌの人生に関わる人々の思いが絡み合う。

 「誰も知らない」(2004年)、「そして父になる」(13年)など、カンヌ国際映画祭で高く評価され、昨年の「万引き家族」は最高賞のパルムドール賞を受賞した。長年フランスとの縁を深めてきた是枝監督だからこそ、キャストもスタッフも言語も文化も違う中で撮ることができたのではないだろうか。

 平然とうそをつき辛辣(しんらつ)な言葉を吐く毒舌家のファビエンヌ。今年76歳になるドヌーブは変わらぬ美貌で、気まぐれで傲慢(ごうまん)な大女優を風格とユーモアさえ感じさせながら貫禄たっぷりに演じている。

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 そんなファビエンヌを触発する新進女優マノン役のマノン・クラベルはオーディションで大抜擢された女優だが、架空の役名から本人の名前に変更されたという新人とは思えない存在感を発揮している。

 離れて暮らす母と娘の確執と和解。娘に見せる母の顔と女優の顔。これは演技か真実なのか。ファビエンヌの言葉や態度に翻弄(ほんろう)され、まさに真実は神のみぞ、いやファビエンヌだけが知る、女優という生きもののしたたかさとすごみを見せつけるドヌーブがなんとも魅力的だ。
=1時間48分

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野グランドシネマズ((電)233・3415)で公開中
(2019年10月12日号掲載)

写真左=来日し、舞台あいさつするカトリーヌ・ドヌーブ

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