スペシャルアクターズ ~脚本の巧みさ突出 先が読めない展開

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(C)松竹ブロードキャスティング

 予想を裏切るストーリー展開で昨年の話題をさらった映画「カメラを止めるな」。有名な俳優が出ているわけでもなく、大作でもない作品が口コミで大ヒットし、映画の面白さの原点を改めて教えてくれた。上田慎一郎監督のオリジナル脚本による劇場長編第2弾が「スペシャルアクターズ」だ。

 1500通の応募の中からオーディションで15人が選ばれ、その役者たちの個性を生かした物語をゼロから作るという、上田監督に課せられたとんでもない使命とプレッシャーから生まれたコメディーエンターテインメントだ。

 緊張すると気絶してしまう体質でオーディションに落ち続ける売れない役者、大野和人(大沢数人)は、弟の宏樹と数年ぶりに偶然再会する。和人と同じく役者を志していた宏樹が紹介したのは、俳優事務所「スペシャルアクターズ」だった。映画やドラマだけでなく、依頼人の要求を演技で解決する「何でも屋」の事務所に持ち込まれたのが、カルト教団から旅館を守ってほしいという依頼。教団の裏の顔を暴き、洗脳された家族を救うことができるのか。チームのメンバーになった和人は、気絶しそうになりながらも奮闘する。

 やはり突出しているのが脚本の巧みさだ。「美男美女はメジャー映画で見ればいい。不器用だけど人間として持っている個性が魅力的な人」という基準で選ばれた無名の役者たちに、監督はパズルをはめ込むかのように、あて書きしていったそうだ。顔が売れていないだけに、先が読めないストーリーの奔放さが楽しい。

 映画が持つ仮想や虚構の世界から離れて、登場する物語のエピソードは今の日本で実際に起きている事件や出来事につながるものばかり。うかうかしていると自分自身が被害者になりかねない社会の危うさに、スクリーンの画面に大笑いしながらも時折背筋が寒くなる。人間は誰しも演技しながら日常を生きている存在だと、ふと気づかされる。

 試写室には毎回、宣伝プロデューサーを兼ねている上田監督やキャストが来場してあいさつするという、情熱のこもった一本だった。
=1時間49分
(2019年10月19日掲載)

(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野グランドシネマズ((電)233・3415)で公開中



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