ホテル・ムンバイ ~奇跡の脱出劇再現 テロ現場の臨場感

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(C)2018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC

 2008年11月26日、インドの巨大都市ムンバイでイスラム武装勢力による無差別テロが起きた。現場にいた人々は突然の恐怖と暴力にどう立ち向かい、生き抜こうとしたのか。「ホテル・ムンバイ」は、高級ホテルで実際にあった奇跡の脱出劇を映画化した作品。

 大勢の人々でにぎわう夜のムンバイで銃声が鳴り響いた。同時多発テロが起き、標的となった駅や繁華街で多くの人々が銃弾に倒れた。そのころ五つ星のタージマハル・パレス・ホテルでは、世界中から訪れた人々が優雅な時間を過ごしていた。だがVIP客を狙ってホテルに乗り込んできたテロリストたちが 容赦なく銃弾を浴びせかけ、豪華なホテルは瞬く間に惨劇の場と化していった。

 異変に気付いた給仕のアルジュン(デブ・パテル)は、機転を利かし脱出を試みる。その中には米国人の建築家デビッド(アーミー・ハマー)と、妻のザーラ(地元の大富豪の娘)、生まれて間もない彼らの娘、ミステリアスなロシア人実業家らの姿があった。

 五つ星ホテルのサービスのきめ細かさに感心したのもつかの間、場面は一転。途切れることのない緊迫感が、まるで自身がテロの現場に居合わせたかのような臨場感を生み出す。

 首謀者から遠隔操作されるテロリストは 貧しく家族思いの若者たちだ。まだ少年の面影のある青年がジハード(聖戦)の名の下に、非道な殺人をいとも簡単に行う姿に言葉を失う。憎むべき犯人は一体誰なのか。もしテロに遭遇したらどうすべきなのか。このテロ事件では日本人も犠牲になったという。

 滞在客を守るためにテロリストと向き合ったのは、武器を持たないホテルマンたち。彼らにあるのはホテルへの誇りと自身の勇気だけ。多くの従業員が逃げ出すことなくホテルに残ったという。彼らが起こした奇跡に心を動かされたアンソニー・マラス監督が映画化を企画し、生存者をはじめ警察官、従業員、犠牲者の家族にもリサーチしたという。徹底的な取材から生み出されたいくつもの人間ドラマが、再現ドラマを超えた感動の物語となった。
=2時間3分
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野千石劇場((電)226・7665)で11月29日(金)から公開
(2019年11月23日掲載)

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