パラサイト 半地下の家族 ~韓国社会のひずみ 貧富の格差を描く

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 韓国映画として史上初のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝いた「パラサイト半地下の家族」。「グエムル 漢江の怪物」(2006年)、「母なる証明」(09年)などで知られる韓国の奇才ポン・ジュノ監督の最新作だ。

 日の光もろくに当たらず電波も届かない、半地下の部屋で暮らすキム一家は家族4人が全員失業中。一家の大黒柱ギテク(ソン・ガンホ)は事業に失敗し、「甲斐性なし」と妻にののしられている。まず一抜けしたのが大学受験に失敗し続けている浪人生の長男ギウ(チェ・ウシク)。友人の名門大学生に家庭教師の仕事を紹介され、高台の大豪邸に暮らすIT企業の社長パク家に面接に訪れる。偽りの学歴ながら受験のスキルにたけるギウはパク夫人の心を捉え、見事に女子高生ダヘの家庭教師に収まった。子どもの教育に不安を抱える若いパク夫人に、言葉巧みに紹介したのは美大生志望の妹のギジョン。落ち着きのない末息子ダソンの美術家庭教師となり、次第にパク家に侵食していく。

 ニュース映像などでよく目にする韓国社会のひずみ。貧富の格差は裕福なパク家と貧乏なキム家そのままだ。モダンで洗練された家と薄暗くごみためのような半地下の部屋。持つ者と持たざる者の悲哀が、彼らの生活ぶりに描かれる。過酷な受験戦争を勝ち抜いた者が勝者となり、肩書が人間性を押しつぶし階級社会へと押しやる社会の残酷さがスクリーンからにじみ出る。羨望やねたみ、怒りが人間を突き動かす瞬間を捉えるポン・ジュノ監督のなんと巧みなことか。

 物語は人間ドラマ、サスペンス、コメディー、社会風刺、家族愛、さまざまな旋律がせめぎあい、時には不気味なハーモニーを奏でる。最後に残るのはどんな感情なのか。自分の心にパラサイトした何者かがうめき声をあげる。カンヌ国際映画祭で審査員が満場一致で選んだということがうなずける激しく強い物語だ。
 ポン・ジュノ監督自らネタバレを禁止するほど、予想のつかない展開に身をゆだねるしかない。
=2時間12分
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野ロキシー((電)232・3016)で公開中
(2020年1月11日掲載)

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