チア・アップ! 高齢女性チームが勇気とパワー発揮

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 若い女性たちがポンポンを振り、リズミカルにアクロバティックな演技をする。そんなイメージが強いチアリーディングに、平均年齢72歳の女性チームがチャレンジするハートフルコメディー映画が「チア・アップ!」だ。

 余生をゆっくり過ごしたいと、マーサ(ダイアン・キートン)が選んだのは高齢者たちが住む郊外のシニアタウン。ところが引っ越し早々けたたましい隣人シェリル(ジャッキー・ウィヴァー)のお節介で、静かなはずの日常が遠のいてしまう。ひょんなことからマーサの長年の夢だったチアリーディングクラブを結成することに。タウンを牛耳るヴィッキー(セリア・ウェストン)の嫌がらせにもめげず、地区最大のコンテスト出場を目指して特訓が始まった。

 部員募集のオーディションシーンがなんともおかしい。チアリーディング競技は躍動感や笑顔、同調性などで採点されるが、集まったのはめまいに座骨神経痛、体が硬いと、持病を抱えたり、老化が進んだりした面々ばかり。年とともにガタガタになった体にむち打ち、ワンチームになってゆく。撮影ではスタントなしというから驚きだ。

 人生の縮図のような住民たちが集まるシニアタウン。鮮やかなカラーの衣装の老婦人たちに対して、シンプルで着心地が良さそうな服をさらりと着こなすダイアン・キートンならではのファッションも見どころの一つだ。

 次第に心を開き友情を育んでゆくマーサとシェリルを演じたダイアン・キートンとジャッキー・ウィヴァーの実年齢はともに70代半ば。そんな年齢を感じさせないほど笑顔がチャーミングだ。

 タイトルの「チア・アップ」は、日本語では「元気を出して」「がんばれ」と訳されるそうだ。人生の締めくくりを意識するようになる晩年。終活も大事だが一番大事なのは「今を生きる」こと。もう何歳だから、他人から変な目で見られたくないからと決めつけ、自分を閉じ込めるのではなく、夢に挑み残り時間を思いっきり走り抜こう。そんな人生の応援の物語から勇気とパワーが伝わってくる。
(2020年8月8日掲載)

=1時間31分
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
長野ロキシー((電)232・3016)で8月15日(土)から公開

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