ポップスター ~再起に挑む歌姫の 明かされていく秘密

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(C)2018 BOLD FILMS PRODUCTIONS, LLC

 リュック・ベッソン監督に見出され「レオン」(1994年)で衝撃のデビューを飾ったナタリー・ポートマン。当時13歳だった。「ブラック・スワン」(2010年)で、精神的に追い詰められてゆくバレリーナを熱演し、アカデミー賞主演女優賞を受賞した。新作「ポップスター」で挑んだのは、ステージで燦然(さんぜん)と輝く歌姫(ディーバ)だ。

 セレステ(ナタリー・ポートマン)は14歳の時、同級生による銃乱射事件に巻き込まれ、事件の犠牲者に捧げる追悼曲を作ったところ、大ヒット。敏腕マネジャー(ジュード・ロウ)と契約しスターへの階段を駆け上がる。だが31歳となったセレステは、スキャンダルな言動に走り、お騒がせスターとなっていた。再起をかけたツアーが始まる矢先、思いがけない事件が起きてしまう。

 純真な少女が富と名声を手にし、傲慢なスターへと変貌してゆく。落ち目になりアルコールや薬物に手を出すのは実際にも耳にする。音楽を愛する気持ちは同じなのに、なぜセレステは鎧(よろい)をまとうようにかたくなになったのか。銃乱射事件のトラウマと17年間抱えた秘密が明かされてゆく。

 会見やインタビューで秘密を暴きだそうとするメディアの質問は暴力的な悪意に満ちていた。ゴシップも悲劇も重要なニュースも同じようにネットで拡散していく、現代の情報社会に危惧を抱いたことが作品のきっかけだった―と脚本も手掛けたブラディ・コーベット監督は語る。

 「ブラック・スワン」ではプリマドンナとしてクラシックバレエを舞ったポートマン。ポップス歌手役の本作は見事な歌声を披露し、新たな才能を見せつける。

 きらびやかなコスチュームの彼女がバックダンサーを従え、切れのあるパフォーマンスを繰り広げる。本物の歌姫と見まがうほどの圧巻のステージは見どころの一つだ。振り付けは、「ブラック・スワン」でも担当し、実生活でパートナーとなったバンジャマン・ミルピエ。人気アーティストのシーアが、映画のために全楽曲を提供しているのも話題だ。
=1時間55分
 (日本映画ペンクラブ会員、ライター)
 長野千石劇場((電)226・7665)で公開中
(2020年9月5日掲載)

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